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君と共にここに居る

第5章 女尊男卑


10:30
華楓は服の装備専門店にいた。

「こちらなんかは伸縮性に優れているので武闘系の方には最適ですよ」

「へぇ…じゃ試着してみます」

そう言って華楓はカーキ色のモッズコートを試着してみた。

「あっ普通のやつより伸縮するし薄手だから一年中着られる」

「そうなんです。使い勝手が良いんですよ」

「腕まくりしやすいし私に便利かも」

華楓は腕まくりをすると左手首のつる草文様の紋章が見えた。

「そっそれは…女神族の末裔…!」

「えっ?」

紋章を見た店員は目を丸くして言った。華楓は何も知らずに力を受け取ったため自身も驚いた。

「これ、なにか意味があるんですか?」

「…つる草文様…この世界ではつる草は女神が育てている植物と言われていてその紋章を受け継いだものは女神と同じ力が宿っているとされているの」

そう言いながら店員は天井に描かれていた絵を見た。それを見て華楓も上を見上げた。
その絵には6体の女神が描かれていた。

「貴女の紋章は白と青。つまりあの女神の後継者ということになるのよ」

店員が指した女神には右が青、左が白に染められたワンピースを纏い風と水と触れ合っている。

「だから空気と水なんだ…」

「その様子だともう能力のことはわかっているみたいね、ただ貴女が女神の力を受け継ぐ者ということをなるべく人には言わない方が身のためよ」

「は、はぁ…」

会話を終えると華楓はコートとパンツ、パーカー、Tシャツ、ブーツを買い上げ店をあとにした。





同じ頃画材市では陽二がスケッチブックや絵の具などを買っていた。

「結構いい素材ありますね」

「でしょ!」

大人にしては少し若そうな女の人がニコニコで陽二に応えた。

「これだけいい画材なら綺麗に描き写せそうだ」

「描きたいもの、あるんですか?」

「えぇ…まぁ…」

すると店員は大きめの袋から1冊のスケッチブックを出した。

「これは人を描くのに最適とされています。女性の肖像画を描くのに良いですよ?」

「…何で?」

「あなたの目を見ていればわかりますよ」

クスクスと笑う店員に余計なお世話だと呆れる陽二だった。
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