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アネモネの夢

第1章 アネモネの夢00~50


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初めて彼らを見た時の感動は、とてもじゃないが忘れられない。
こんなにも綺麗な人たちがこの世に居るのかと魅入ったのは仕方がないと主張したい。
誰にだと問われれば、誰かにだ。

私、藍羽百合はあの織田グループの傘下である中小企業の一つで秘書として働く二十五歳である。
まだ入社して三年目のペーペーだけれど、私の目標は織田グループの総帥たる信長公、彼の秘書にして奥方である帰蝶様である。
まぁ、大それた夢だけど目標が大きくてもなんら問題はないはずである。心が折れることがなければ……。
それはさておき、そんな私はおおよそ半月ほど前に三か月ほど付き合っていた彼氏にこっぴどく振られたばかりである。どういう風にかと言えばいわゆるネームバリューの為のキープちゃんだったわけです、私が。
挙句、可愛げのないくそまじめな性別だけ女の私には飽きたからもう要らないと言い、その横にはとても小柄で可愛らしい小動物の様な女の子がイイ笑顔で私のことを蔑んで見てた。
私自身、別に彼のことがそこまで好きだったわけではないと思う。ただ、女としてのプライド的な物は非常に粉々に砕け散ったとは思う。
気が強く男勝りな性格である自覚はあるし、だからこそハードな秘書という仕事もこなしていられると思う。それでも、あれはさすがに効いたのだ。
なにぶん、可愛げがない自覚はあったし自分の顔面偏差値がそれほど高くない自覚もあったし、それ以上にあの時の私は体調を崩しかけていた。
そんなどうしようもない状態で心配されることもなく、挙句酷い振られ方をしたのだ。天気だってそれを表すかのように最悪で、秋の初めの冷えた夕暮れに土砂降りの雨に降られて歩く羽目になったのだ。

「あの時はほんと、ボロボロだったなぁ……」

それでも残っていた理性が自宅に帰るように指示を出し、とぼとぼと家までの道を歩き出した所で盛大に転んでしまったのは今思い出しても恥ずかしい。
路肩に出来た穴にピンヒールが引っ掛かって盛大に転んでしまったのだが、周囲の人間は見て見ぬ振り。当たり前だと思ったけれど悔しいやら悲しいやら痛いやら色々混じって、とうとう泣き出した所で彼らに会ったのだ。
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