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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第7章 派生③おそ松&チョロ松END



「……松奈……すっげえ締め付けてくる……可愛い……最高……」
 クズが私を揺さぶり、背後から抱きしめながら、ささやいた。

「私が……悪い、ん、ですか……?」

 半泣きで言うと、

「そうそう? 嫌ならそう言えば良かったのに」
「そうだよ。俺たちを困らせる松奈が悪いんだから」

 即座に同意され、ぼんやり考える。

 そうだっただろうか。
 誰にでもいい顔をして、あのとき、ちゃんと断らなかった私が……。

「あ……や……や、だ……」

 気持ち良すぎて、どうかなりそう。肩に痛みを感じ、軽く噛まれたと分かったけど、今はそれさえ快感でしかない。

 悪い、のかな……私が……。

「あー、もうダメ……松奈……好きだよ……――!」

「……――――っ!!」

 二度目の絶頂を迎えながら、私はないていた。

 …………

 …………

 数時間前。

「えーと……」
 
 たっぷり三分ほど固まってから、ようやくノロノロと歯車が動く。
 青スーツのおそ松さんに『二対一』の交際を申し込まれ。

「恋愛って、一対一じゃないんですか?」
「お兄ちゃん、そんな細かいことにはこだわらないよ!」
「細かかったっけ……」
「うん、細かい細かい」
 おそ松さんが肩に手を回し、私を引き寄せる。酒くさい……。

「でもって、真剣に松奈とは交際したい!」

 ダメだ。超展開すぎる。

 頭がボーッとする。バーのお酒の匂いが……。
 昨日はほとんど寝てなくて、疲れてるせいもあるかもしれない。
 よく分からないので、キッパリ断ってさっさと帰ろう。私は咳払いし、

「断る。死んでも嫌です。てか死ね。帰ります。さようなら」

 立ち上がろうとしたが、腕を引っ張られる。
「離して下さい。ありえないですから」
「楽しけりゃいいじゃない。とりあえず座って座って。
 ほら、ここ、お酒以外もあるよ。何か食べる?」

 おそ松さんは私の腕をつかんだまま――笑顔と言葉の呑気さに反し、力が強い。
 何より、目で座るよう命令されている気がして……気がつくと座っていた。

「良い子だね、松奈。で、さっきの続きだけど」
「ですから、そういうのはどん引きっていうか、ありえな――」
「これからは一松に代わって、俺たちが面倒を見るからさ」

 ニートがニートの面倒を見るとな。


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