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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第4章 後日談



「ずっとこの家で、幸せになろう」
「……はい! 私で良ければ……」

 ぐずぐずと泣きながら、大好きな人の腕の中で安堵する。
 そして泣きはらした顔を上げ、一松さんともう一度、キスをした。

「……で、いつまで見てるつもり?」

 一松さんが顔を上げ、低い声。

「えー。適当なとこでクラッカーでも鳴らそうかと」
 ふすまを開け、おそ松さんが言う。
 遅れてクラッカーが鳴る。タイミング外しまくりだっ!!

「あーあ、どうするの。結婚まで先を越されちゃって」

「コングラチュレーション!! 祝福するぜブラザー!!」

「やっぱ就職するためには彼女を作らないと。でも妥協もしたくないし……」

「おめでとう一松兄さん、松奈!」

「孫! これで孫にリーチがかかったわね、お父さん!!」
「ほら、おまえたちも一松と松奈を見習ってちゃんと就活と脱童貞を――」

 まともに祝福してくれる人が少ないんですが!!

 一松さんもため息をつき、私の肩を叩いた。

「当分、騒々しいけど、我慢してね」
「我慢してませんよ。私はずっとここがいいです。この家が大好きだから」

 でも、お母様には悪いけど、孫は当分先になりそうかな。
 そして私たちは、もう一度キスをした。
 皆の口笛と拍手、あとクラッカー。

「よーし! 一松のプロポーズ成功記念だ! 全員、飲むぞー!」

『おー!!』

 えー。何その流れ。
 だが隙あらば飲みたいろくでなしどもは、私たちを引っ張って階下へ。

 家で飲むのか、全員で外に繰り出すのか。
 分からないけど、にぎやかな日々はまだまだ続きそう。
 私も一松さんもそれに巻き込まれ、騒々しく過ごすんだろう。

 でも、それが大好き。この家が、この家の人たちが、すごく好き。

「愛してます、一松さん」
 
 こっそりそう言って一松さんにキスをした。
 優しい微笑みと、お返しのキス。

「行こう、松奈」
「はい!」

 そして手をつないで、私たちは歩いて行った。


 ずっとずっと続く、幸せの中に。




六人の兄さんと過ごした三ヶ月


――HAPPY END!


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