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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い


 そう思っていたら、一松さんの顔が近づいて、キスされた。

「松奈。俺は何を言われても信じるから。だから話して」

 少しだけ優しい笑顔が私を見下ろす。

 風邪で弱った心がくじけそうになる。
 本当に、信じてくれる?
 私のことを。怖がらないで、受け入れて、くれる……?

「大丈夫だよ」

 手を握られる。熱のある身体には少し冷たく感じる。

「松奈」

「実は……」

 ついに私の唇が動き出す。


「私……べ、別の世界から、き、来たんです……」


 反応を見るのが怖くてバッと顔をうつむかせる。
 一松さんの手だけが感触の全て。
 ついに言ってしまった。どんな顔をしているのか。
 優しく笑っているのか、それとも『××××だったのか……』と呆れているのか。
 どれくらい時間が経っただろう。

「……で?」
「え?」
 顔を上げる。一松さんは不思議そうに、

「いや、だから別の世界って、どういう世界?」

「えええ? この世界とよく似てるんですけど……」

「時代は二十一世紀だよね? 日本はある? 宇宙人とかモンスターとか共存してる系?
 こっちには自分の超能力とかで来たの? 違う? デカパン博士に連れてこられた? あ、そう」

「い、いやいやいやっ!!」

 思わず起き上がる。
 何だこの人! 何なんだこの『慣れてます』系の反応はっ!!
 高熱のためではない汗がたらりと落ちる。

「あの。もしかして異世界だの、宇宙人だの、よくある話なんですか……?」

「そうだけど」

『何当たり前のこと、言ってんのこいつ』みたいに言われたああっ!!

 何だったの、私のこの二ヶ月の悩みはっ!!
 薄々思っていたけど、やっぱり似て非なる世界だ、ここっ!!

「ということは、もしかして一松さんたちも子供の頃、そういうご経験を!?」

「あの時代はもっとぶっ飛んだのもOKだったからね。よく似た別世界とか普通に行ってたし、タイムマシンで石器時代に行って暮らしたり、インベーダーと戦ったり、吸血鬼にされたり……」

 一松さんの口から聞きたくなかったファンタジーな発言が次々にっ!!
『あの時代』って何なの!?

 私があわあわしていると、一松さんはそっと布団をはがし、私の身体の両脇に手をつく。

 寒い寒い。まだ私の身体はウィルスと戦闘中ですからね!?

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