第6章 〇【ライナー・ベルトルト】代償
サラが調査兵団に入って数ヶ月。
今日は大砲の整備の為に、立体機動で壁に登っていた。
アンカーを刺し、壁の上に降り立ち左側を見ると、少し先にライナーとベルトルトがこちらを背にして立ち話をしているようだった。
「(サボってる・・・?よし・・・)」
サラは驚かせようと、気配を消して近付くが話に夢中なのか全く気が付かない。
話の内容が聞こえ始める。
「・・・だからライナー、もう次の壁を破ろう!」
「ああ、時期を見てやろう。アニにも伝えるんだ」
「え・・・?」
サラは驚愕の表情と、恐怖したような顔が混ざった顔でライナーとベルトルト、2人の後ろでしゃがんでいた。
サラの声に、2人は勢い良く振り返り、サラの姿を確認する。
「・・・え、え?」
動揺しながらもサラはライナーが動き出すのを感じ、立体機動を素早く手にして壁から飛び降りる。