第23章 第2部 三成と金平糖
『光秀さん!でもなんで?』
『三成が心配していた。秀吉も家康も政宗も、もちろん信長様もな。偶然城下に用事があったから俺が迎えに来た。傘だ、使え。この風では意味を成さないかもしれないがな』
『ありがとうございます。簪を取りに来たんですがまさか雨が降るとは思わなくて』
傘を受け取ると安土城に向かって2人で歩き始めた。
せっかくなので浅井長政について聞いてみる事にする。
『光秀さん、今日安土城に来た浅井長政様はどんな方なんですか?』
『あれは北近江を統治している男だ。俺から言わせれば食えない男だな。まぁ、人の事は言えないが』
(北近江?琵琶湖の北側の辺りだよね)
『食えないってどういう意味でしょう?』
『織田軍とは最近になって同盟を組んだが、越前の朝倉とも繋がっている。朝倉は信長様の敵だ』
『何か裏でもあるんでしょうか』
『なければいいが用心するに越した事はない。浅井は数日安土に逗留するらしいから顔を合わせる事もあるだろう』
『そうですか。あまり深く関わらない様にします』
(悪い人には見えなかったけど、正直あまりいい予感がしないよ)
城に戻るとすでに浅井長政の姿はなく、天主で信長と秀吉が話をしている様だった。
光秀もそのまま天主に向かっていく。
(何か大事な話し合いでもしてるのかな。戦じゃなきゃいいけど)
それからしばらくした後、信長の命令により光秀の斥候が北近江と越前に向けて静かに出発したのだった。