第22章 帰城
(秀吉さん、泣いてるの?)
急いで自分の場所に戻って、近くから表情をこっそり確認する。
『信長様と直美が無事に戻ってきてくれて嬉しいです。この安土には2人の存在が必要不可欠ですから!』
酔っているとはいえ、皆の仲間として認めてもらえている事がたまらなく嬉しかった。
(最初はあんなに私を警戒してたのに…)
『秀吉さん!今夜はもっともっと飲みましょう。信長様もですよ!』
『ああ、全員もっと飲め。命令だ』
秀吉は酔ったまま泣き続ける。
光秀は水だと言ってお酒を政宗に飲ませ、蔦花が真っ赤になりながら政宗を介抱している。
家康は赤い料理を食べ続け、三成は政宗に酔い覚ましのお茶を入れようとして転び、茶葉を広間にぶちまける。
信長はそんな光景を楽しそうに眺めながら盃を口に運んでいる。
そしてこの賑やかな宴は朝まで続いたのだった。
その後、蔦花は手先が器用なのを認められこのまま安土城で針子として働く事になる。
直美の姫修行もまるで何事もなかったかの様に再開された。
いつもの生活が笑顔とともに少しずつ戻っていく。
全員がこのかけがえのない時間と笑顔を大切に守ると胸に誓うのだった。
ー 第1部 完 ー
ここまでお読みくださりありがとうございます。
第1部、無事にまとめる事が出来ました。
北条編、春日山&毛利編の両方をたくさんの方に見ていただき本当に感謝しています。
実はこのお話には続きがありますので、少しずつですが更新を続けていきたいと考えています。
ありがとうございました!