第21章 富山城、再び
黙々と手当てを進める家康だったが、ここでは簡単な応急処置しか出来なかった。
(斬る時に躊躇したのか傷は思ったより浅いけど、このまま安土に帰れる状態じゃない。どこかでしっかり休ませないと…)
家康は立ち上がると外で待っていた謙信に話しかけた。
『ちょっと頼みたい事があるんだけど』
謙信には家康が何を言おうとしているのか大体の検討がついていた。
『ここから一番近い城は富山城だ。必要な物は全て用意し部屋でゆっくり休ませる。城まで案内しよう』
謙信は信玄、幸村、佐助を呼ぶと、先に富山城に戻り手当てに必要な物を全て整えるよう指示を出す。
まだ船上で信長たちが戦っているため、万が一に備えて政宗と三成はその場に残り、家康が直美を連れて港から富山城へと向かう事になった。