第15章 再び城下へ
『姫、どうした?頭の中が忙しそうだな』
また信玄が心配そうな表情をしたのでここで話題を変える。
『信玄様、真面目なお話をしていたらお腹が減ってきました!』
『じゃあ幸の部屋に乗り込んで甘いものでも奪ってくるか。疲れたときには甘いものだな』
『急襲ですね!ワクワクします!』
碁盤と碁石を片付けると幸村の部屋に向かった。
そして数分後。
『あんたら、一体何しに来たんだよ』
『幸を夜のおやつに誘おうと思って!』
『もう寝る時間だぞ、帰れ』
門前払いの様子だが2人は一歩も引かない。
『この部屋にいっぱい菓子を隠してあるだろ、知ってるぞ。幸、俺を誰だと思ってる。黙って出しなさい』
『まるで脅迫じゃねーか』
『あっ、脅迫ならこれでどう?……幸村、菓子を出さぬなら斬る』
『おいおい、謙信様の真似かよ。でも直美が言っても脅迫にはならねー。全然怖くねーし!』
『ええー、残念!』
『姫、もう一人の真似で攻めてみろ』
『はい!……どこに隠してあろうと諦めません!幸村殿も一緒に食べましょう。是非ご検討を!』
『今度は景家かよ!短時間でよく習得したな…って何言ってんだ。もういい、入れよ。今夜はあんたらのしつこさに負けたわ』
『やったー!!』