第15章 再び城下へ
佐助とはゆっくり2人で話したいと以前から思っていた。
元の時代についての話もしたかったので、なるべく人のいない道を選んで歩く。
『佐助君は凄いね。皆から信頼されててすっかりこの時代の人間って感じがする』
小田原城から脱出する時に幸村たちが見せた佐助への信頼感、あれは本物だった。
『直美さんに会うまでの4年間大変だったからね。でも全ては謙信様のおかげだよ』
『謙信様ってさ、何かと斬るって口癖みたいに言うけどあれ何なの?』
『うーん、あの人にとっては斬るのが愛情表現の一つってところかな。ちょっと変わってるけどきっとすぐに慣れると思うよ』
『そうなんだ、かなり変わってるなぁ。あ、謙信様を心酔してる景家さんも相当変わってるよね』
『うん。だけどあの人は軒猿を除いた上杉軍の中では謙信様の次に強い。謙信様を守るためなら敵陣に一人で乗り込んで行く猛者なんだよ』
『えーーー!ものすごく意外!!』
ただの口うるさい世話役だと思っていたのに、そんなに強いなんて全く想像が出来ないし信じられない。
それからも楽しい会話に夢中になりすぎて、後ろから尾行されている事に2人とも気がついていなかった。