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【MHA】声を聞かせて

第1章 サヨナラ、引き篭もり生活


 真っ暗な部屋。カーテンも開けず、部屋の明かりもつけず、布団に包まる生活を初め、2年半。その生活が崩れる日が来るなんて夢にも思わなかった。


「雄英が今度から全寮制になるみたいで、寮母さんの求人募集してたから、書類送っといたわよ。」


 お母さんから掛けられた言葉に頭から被っていた布団から顔を出した。


「書類選考通ったみたいだから、明後日面接行って来なさい。」


 ドアの向こうからお母さんにそう声を掛けられた。その言葉に驚き、私は部屋の扉を開けた。


「ああもう、髪もボサボサじゃない。面接前に美容室行ってきなさいよ。」
「(なんで勝手な事するの!?私、就職なんかしないから!)」


 手に持ったノートにそう書くと、お母さんはそれを見て深い溜息を漏らした。


「アンタいつまでそうやってるつもり?もういい歳なんだから、自分の生活費位自分で稼ぎなさいよ。働かざるもの食うべからずって言うでしょ?面接行かなかったら琴葉のごはん作らないからね。後、家も出てってもらうから。」


 そりゃあ私だって、高校を卒業し、働きもせずに、ずっと親に面倒を見てもらっているのは大人として良くない事だとは分かっていた。けど、私は他人と会話をする事が出来ない。そんな私が社会に出るなんて、死ねと言っているようなもんだ。それも、よりによって、雄英の寮母さんなんてとんでもない。


「人使の通ってる学校なんだから、面接蹴るなんて事して人使の顔に泥を塗らないでよ?」


 嗚呼、もう最悪だ。この快適な空間から外に出なきゃ行けないなんて。

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