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【ヒロアカ】血まみれヒーローと黒の少年【原作沿い男主】

第3章 対人戦闘訓練




 転校生を囲むクラスメイトの輪をすり抜け、出久はビルの壁の前でへたり込んでいる勝己の元に向かう。怪我をしているのか、それとも悔しさを噛み殺しているのかは判断がつかないが、どちらにしろ出久には勝己を放っておくことができなかった。おそるおそる顔をのぞき込み、手を差し出す。


「か、かっちゃん。だいじょ……」
「触んなクソが!!」


 しかしその差し伸べた手は、勝己の手によってこれでもかと乱暴に振り払われてしまった。ぞんざいに立ち上がると、憤怒のオーラを全身に纏いながらずかずかと立ち去っていく。出久は払われた行き場のない手を持て余しながら、その後ろ姿を見送ることしかできなかった。講評を始める、という相澤の声がどこか遠くに聞こえる。


 ……転校生の闘いには、見る者の感情の琴線にふれるような何かがあった。でもその「何か」の正体が掴めず、出久は相澤の授業の講評を聞きながら、先の試合をできるだけ克明に回想してみた。でもやはりその正体は分からずに、ただ転校生の背負う真黒い翼を見た時の、寒気にも似た違和感が名残のように肩口に張り付くだけだった。


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