• テキストサイズ

ダーリン私に触れないで

第4章 酔っぱらいのボタン



 1週間ほど経った土曜の夜、有は部屋でレポートを書いていた。
 ふと、玄関の方をみる。外で物音がしたような気がした。

 いや、気のせいではない、ドンドンとドアを叩くような音がする。
 立ち上がって、恐る恐る戸口に近づいた。

「有…んん〜〜……あけてくれぇ〜〜〜〜…」

 秋也の声だ。
 驚いて玄関扉の覗き穴に目を当てる。

 外にいるのは確かに秋也だった。
 有は慌てて扉を開けた。

「秋也くん、どうしたの…!」
「あ〜…有…」

 秋也は半ば倒れるようにして有に覆いかぶさった。扉が重い音を立てて閉まる。
「ちょ、きゃあ!や…!重…秋也くん!」

 酒の匂いがする。

「秋也くん、飲んでるの?」

 そういえば週末は飲み会があるとか言っていたような気がする。盛大に酔っぱらった秋也は、勢いに任せて有の家に来た、ということか。
 合点のいった有は、呆れながらも話しかけた。
「ねえ、重いよ。歩ける?ねえ」
「ん〜…」

 ごにゃごにゃとわからない言葉を口にして、フラつきながら秋也はリビングに向かった。
 転んではいけないので、有も一応脇から支える。

 これだけ酔っていては自宅へ帰すのは難しそうだ。けれど彼と一晩過ごして、万一襲われでもしたらどうしよう。

 そんなことを悩みながらリビングのソファの前まで来ると、秋也はドウッとその上に倒れ込んだ。有も身体をつかまれ、一緒に引きずり込まれる。

「ひっ…あ!」

/ 66ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp