第7章 〜組織の一員〜
透さんのお家に泊まって数日後、私達は挙式場に来ていた。普通は豪華だから、準備に時間がかかる筈なんだけど、間野グループの系列の子会社の式場だったため、然程準備も掛からず、衣装も直ぐに決まったため、頼み込んで早めに挙げてもらったらしい。
『咲璃愛〜、綺麗だね〜!』
綺麗なドレスに身を包んだ、咲璃愛を目の前にして、思わず言った。
咲「でしょ?沖矢さんに選んでもらったドレスなの!まだお腹も大きくないから、マーメイドライン!でもお父さんの機嫌がすごく悪くて、一緒に腕組んでなんて歩けなさそうな感じだよ。」
『そうだよね。許してもらえるまで時間はかかるかもしれないね。』
咲「じゃ、もうそろそろ私行くね!真恋音も式場に行ってなよ!」
『うん、行ってらっしゃい!』
咲璃愛に手を振り見送る。私も急いで式場へ続く廊下へと出る。待たせていた透さんと合流した。
透「僕達も結婚したくなりますね?」
『いつかはですね!でも式は挙げれないですよ、私お父さんがいないから。披露宴だけにしましょう?』
そう言うと、透さんは悲しそうに笑い、私を抱きしめた。今日はこの間透さんが買ってくれた黒のワンピースドレスに身を包んでいる。胸元に赤い薔薇のコサージュを付けて、髪もアップにして赤い薔薇の髪留めをしている。
透「今日の真恋音さんは綺麗だから、調子が狂いますね。」
『そう言う透さんも、かっ...こいい...ですよ。』
恥ずかしくて小声になってしまった私を見て、ニコッと微笑む。
透「照れる真恋音さんも、最高に可愛いです。さぁ、行きましょう、式が始まってしまいます。」
『はい!』
私達は手を繋いで式場へ向かった。
司「新婦の入場です。」
パチパチパチッ────
咲璃愛のお父さん、眉間にシワよってる。自分の娘を嫁に出すとかそう言う次元じゃ無いんだろうな。もっとこう、深い理由があるんだ。沖矢さんは普段通りの無表情だ。ちょっとは笑えばいいのに。
拍手をやめた手を膝の上に置くと、透さんに握られた。そのまま指を絡める。透さんの方に目をやるとニコッと笑っていた。釣られて私も笑い返す。
誓いの言葉、誓のキス、指輪の交換。順調に進んで、小さな挙式はあっという間に終わった。