• テキストサイズ

友達のナリカタ【十二大戦】

第3章 異文化交流:後半戦


自身が何かを作り誰かを楽しませる。一生、縁がなく訪れないと錯覚していた。不変だった日々が動き出したような。最初は平気で殺しに来る憂城の対処に困窮したものだが。

はにかんで喜ぶ憂城が脳裏に過る。

ここからスタートだ。四苦八苦とレシピを睨み慎重に間違いなく進める。和平のプロのお墨付きのレシピだ。味に問題など無いだろうが

「今更、なんだが憂城が甘いものが駄目だった場合どうするんだ?」

手が止まる。盲点だった。リサーチ不足であった。いや、もう買っちゃったし作ってるし本当に今更過ぎてどうしようも出来ん。

「失敗は成功の母だ。禍を転じて福と成すかもしれない!それに仲良しのプロがプロデュースした作戦だぞ!信じろ!」

日が暮れるにつれ菓子の完成も近づく。今回の結果がどうあれ歩み寄らなければ情など生まれない。友情を築きたい理由が出来るだけ殺されるのを避ける為とは誉められたものではないが。しかし、それだけでは動けない、動かない筈なのだ。

「そうか、私は」

彼に絆されているのだな。逃げれなかった等、ただの言い訳だ。本気で逃げようと思えば逃げれた。彼の前から姿を眩ませる方法は万とあった。だが私はしなかった。私は知らずして何時からか最初からなのか彼に歩み寄ると決めていたらしい。

「無意識とは恐ろしいな」

なら覚悟を決めよう。意地でも私のやり方で君と友達になってやろうじゃないか。毎回、私が追われる身だったが今度はこっちのターンだ。彼もこんな気持ちで私を友達にしたかったのかな?

「まぁ、違うだろうが…、?」

後は焼き上がるのを待つだけとなった。だが何故だろうか背筋がざわつく。たまにある直感だ。長年の経験則と言うべきか、危険が近づいている。そんな予感。

静かに近くの窓から外を窺う。自然豊かに聳える木々、その間に何かが居る。周りの植物達に遮られ闇に紛れ。

「!」

瞬間、暗闇の合間から複数の閃光が散り窓ガラスが粉砕された。発射音からして種別はわからないがアサルトライフル!

まさか、私を?いや、ここは憂城のセーフハウスだ。
狙いは憂城?

あり得ない話ではない。彼が戦士であるならば。憂城が戻っていなくて良かったと思うべきだろう。しかし、無遠慮に撃ってくるとは。ここら一帯が人気がないとはいえ無人ではないのだが。形振り構っていられないと言った所か?
/ 31ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp