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友達のナリカタ【十二大戦】

第2章 異文化交流:前半戦


厄介事が耐えない死生である。自身の身の上が特殊なのだから致し方ないのだろう。死んでいるのに意思がある死体など利用価値に満ちている。その手の話はよくあることだ。何度、組織や国に狙われ傭兵に狙われ兵士に狙われ戦士に狙われたか。指で数えるのも億劫な回数である。そして、何度か捕まり実験されては脱走を繰り返したものだ。

結構ハードな生活を強いられてきた私だがこんなパターンは始めてである。

「気は済んだか?憂城」
「…うーん」

脳天にめり込んだ鉈を睨む憂城。血は出ないが内蔵は入っているので垂れる脳髄。一般人が見たら卒倒しそうなスプラッタ現場であった。最近このやり取りが恒例行事になりつつある。嫌なことであるが。

「もう、諦めてくれないだろうか?何度も言うが私は死んでいるんだ」
「嫌だよ。僕は諦めない絶対に」

メラメラと闘志を燃やす憂城。その情熱を他の事柄に費やして欲しい。痛覚が無いとはいえ自身の体が破損するこの状況は好ましいとは言えない。何度か根気よく説明を入れた説得を試みるが今のところ成功例は無しである。有無を言わさず出会い頭に刺殺を中心に殺される。

「そろそろ、この鉈を取らせて貰うよ。眼球が落ちそうなんだ」

鈍い音をたてながら鉈を引き抜くと崩れた頭は時間回帰を始め本来の形に戻っていく。この現象が狙われる最大要因なのだが今は関係ない話である。引き抜いた鉈についた液体を拭って彼に返却する。

「どうすれば君を殺せるのかな」
「提案なのだが今の私が友達ではいけないのかな?」
「うん」

即答された。軽くショックだ。

「と話せるのは嬉しいけどお友達にしたい」
「む、難しいな」

彼との遭遇後は鬼ごっこが続いた。死んでいるので殺されるのに対して抵抗はないものの流石に人前で殺されるのは私にとって都合が悪い。私は裏世界で指名手配されている普通に身バレしてしまう。と言うわけで私は彼と一旦距離を置いた。が意味がまるでなかった。隠れては見つかり殺され走って逃げても身体能力の差が有りすぎて勝負にもならず殺されるを繰り返した。私は折れた。折れざる終えない。

憂城と連絡先を交換したのだ。

互いに都合をつけて会い任意で殺される。私のネゴシエーションスキルではこれが限界であった。彼もそこは納得させた。こんなおかしいな関係になるとは世の中、何が起こるかわからないものだ。
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