Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第10章 シュライヤ
3人の間に落ちる沈黙、それを打ち破ったのはシュライヤだった。
「はぁ。俺のマンションに空き部屋があるから、今日はそこに泊まれ。家具も揃ってるし寝床も何とかするから」
シュライヤの住んでいるマンションも医院が借り上げているもの。
そしてなんとリネンも揃っているらしい。
さすが日本を代表する病院なだけあって、色々と凄い。
ナツはネカフェに泊まると言い張ったのだが、女の子なんだからちゃんとした場所で寝泊まりしろと、シュライヤに咎められた。
前から思っていたが、この人かなり紳士的だ。
どうせ泊まるなら俺んちで良いじゃんと文句を言っているペンギンに、再度釘を刺すシュライヤの様子をナツはぼんやりと眺めていた。
シュライヤが住んでいるマンションは医院から近いらしく、明日荷物等を実家に送ってくれるらしい。
「本当に何から何まですいません。お世話になります」
ナツはシュライヤに深々と頭を下げた。
大袈裟だと笑ってそれを止めるこの人は、本当にどこまで女神なんだろう。
いや、仏。
ゴッド。
取り敢えず人間出来すぎてる。
「じゃぁ、決まったみたいだし。おれは帰るわ」
2人の話を不貞腐れた様子で聞いていたペンギンはそれだけ言うと、玄関ホールのパネルに鍵を突き刺し、ドアのロックを解除した。
「あ!今日は本当にありがとうございました!!また後日お礼に行きますね!!」
ペンギンは何も言わずに、手の平をひらひらさせて玄関ホールへと消えていった。
その姿を、ナツは暫く見ていた。
「じゃぁ、俺達も行くか。お前も疲れてるだろう」
シュライヤの言葉にナツは我に返ると、慌てて彼の後を追った。
近くに止めてあった車に乗り込むと、車は彼の住んでいるマンションへと向かって走り出す。
流れていく景色をただ、ぼーっと見つめていた。