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Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第8章 ロー



独占欲、支配欲、自己嫌悪と抑えきれない自分の想い。

ナツの意思を尊重したい、優しく接したいと思う気持ちと
思い出して欲しい、それが叶わないのなら
泣かせても嫌われても良いから閉じ込めおきたいと思うこの気持ち。

混沌としたナツへの思いの中で、ふと己自身はどうなのだろうと疑問に思った。







もしこのまま一生ナツが記憶を思い出す事がなくても、おれは愛せるのか?





今まで考えもしなかった事実に、ローは暫し唖然としていた。

確かにローは、ナツを見ているようで見ていない。
彼が抱える感情は、そんな曖昧で不安定なものだった。

夢の中の彼女とナツが一緒なのは分かる。
しかしナツはローを覚えてない。

もしあのまま出会わなければ、きっと彼女は別の人生を歩んでいただろう。

自分がそうだと思い込んでいるだけで
ナツは夢の中の彼女とは、もう違う人物なのかもしれない。


新しく生まれ変わって、過去とは違う
別の生き方を選び、その人生を歩もうとしているのかもしれない。


心のどこかで何時かは思い出してくれると思っていたローは、その可能性に息を呑む。

彼女の存在がどんどん離れていくような、そんな気分に襲われた。





ローは拳をソファーに叩きつけると、静かに眠るナツに視線を送った。


そんなこと、許すつもりなんてねぇよ。




彼女を映す瞳には、相も変わらず暗い狂気が宿っている。

どんな結末であったとしても
お互いの感情がすれ違っていたとしても

ナツを手放す事などもう考えられない。
これはもうただの執着心だ。

これまでただの一度だって女に困ったことのないおれが、たった一人の女にすがりつこうとしている。

これは、散々夢の中で刷り込まれた
彼女を失う事へのトラウマも影響しているのだろうか。

随分と女々しい思考だと、そんな自分に笑いが込み上げてくる。






なぁ、おれはどうすればいい?
どうしたらおまえはおれを思い出す?

それとも


思い出さない方がお前の為なのか?


ぼんやりとした意識の中で、辿り着かない答えを探す自分の思考は堂々巡りを繰り返す。














その問いに答えられる者など、誰もいなかった。



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