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Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第5章 激情



夢の中で楽しそうにしている女の人。

私は何時も遠くから彼女を見ていた。

たまに彼女の中に入り、一緒に仲間と過ごしている。



私が入り込めるのは、いつだって
その二人の女の人だけ。

周りを取り囲む仲間は同じメンバーだったけど
この二人が同時に同じ場面に出てきたことはない。

雪の中、仲間の一人と
彼の足跡をたどりながら何かを話していた。

その時の彼女の気持ちはとても不安定で、とても落ち込んでいた。

一緒に雪道を歩いていた彼が提案してくれた
彼の足跡しか踏んじゃダメゲーム。

ほんの些細な事だけど、目の前の事に気を取られているその間は
嫌な事を忘れられた。

彼はいつも、いつだって、私を笑顔にするのが
一番得意だった。













真っ白い雪の積もる景色の中、その中に見えたのは赤。



赤く、赤く、血塗られたもう一人の彼女。

それを抱きかかえているのは、例の黒髪の医者だった。

雪が降る丘の上で、永遠とも呼べる時が流れている。


「……頼むから……おれを置いて行くな……」


静まり返ったその光景ではっきりと聞こえてきたその言葉。

置いて行く?

そんな訳ないじゃない。

あぁ、もしかして……




そうだ。

そうだった。

私は大好きな彼も、大好きな彼の故郷も、
彼を支えてくれる人たちと、そんな彼らの故郷も

守りたかったんだ。

私の命一つで、そんな沢山のものを救えるのなら
惜しくなんてなかった。

でも優しいあなたはそれを望まない。
そんなこと分かってた。

だから嘘を、つきました。


私は嘘が下手だったけど
そんな私がついた最後の嘘は
あなたの幸せを願ってついたあの嘘は

ちゃんと最期まであなたを、騙してくれていました。

全てが終わって
私の代わりにあなたを守る沢山のものが蘇って

そして嘘に気付いてしまったあなたは







泣いてしまっただろうか。








あの時はもう、見えなかったから。


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