第2章 HONEY & LOVER
朔良くんがお腹が減ったってリクエスト。何を作ろうか?冷蔵庫の中を思い起こして、フト、優しい気持ちになる。
ライブで歌う朔良くんは、本当に素敵だった。あの声をずっと聞きたいって思う。ずっと……。
特に、寝起きの掠れた声なんかは結構…………悶えてしまいそうになる。フト、思い出してはつい顔が赤くなる。
試験も無事にパスした様だし、一先ずは安心。まぁ、噂のことは気になるけど……。
イヤイヤ、朔良くんの声は本当に素晴らしかった。目をハートにした女の子が何れだけいたか……。それを思い出しては、心が痛くなる。
私が欲張り過ぎるのが、いけないのかもしれないけれど。でも、1つだけ……。
朔良くんが好きだと言うLiar-Sのことと、歌うこと。それをやり続けて欲しいなと願う。
煙草は……止められそうにないけれど、随分、本数は減った様だし。これは、ハルちゃんから得た情報。
メンバーから驚かれたし、感謝もされたんだ。って、私は何もしていないのだけど。
それにしても、面と向かって言われた…………恥ずかしくてまたしても悶えてしまいそうになる。
朔良くんが好きだと思うことは間違いないし、元カレみたいな人じゃないことは分かっている。
分かっていても、心と体はついていかない。でも、このままズルズルと返事を先伸ばしにすれば、いつか愛想を尽かされ兼ねないかもしれない。
そう考えると……やっぱり、心が痛い。
朔良くんはモテるから、朔良くんさえその気になれば幾らだって相手には困らないだろう。
「お前……さっきから、赤くなったり青くなったり、眉間に皺寄せて難しい顔したりして何してんの?」
「っ!!?」
「まぁ……それは兎も角、風呂入れよ」
私は慌てて朔良くんの横を素通りしては、浴室へと入った。不味い……絶対に後で問い詰められる!!
恥ずかしいことを考えていたなんて、とても私には……でも、きっと朔良くんの追及から逃れられそうにない。
私は、浴室でも顔を赤くしたり青くしたり……眉間に皺寄せて難しい顔をしていた。
お風呂から出た時に、朔良くん……疲れて寝ていたりしないかな?今日は、あんなに凄いライブをやったんだから……。
そうでなくても、よく寝ているイメージ……。無駄な期待をする私がいた。