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【血界戦線】紳士と紅茶を

第5章 終局



 クラウスさんは、
「カイナ! 君のゴーレムで、私たちを現場まで運んでくれたまえ!」
「了解しました!!」 

 やれやれ。
 明日、結婚式を挙げるどころか式場を守るため、まずは世界を救わないといけないらしい。

 私は呪符で獣たちを召喚し、でもちょっと笑う。
 そういう日々も楽しいかもしれない。
 どうせ不確実な明日だからこそ、楽しんで生きるのだ。

 そして私は頼もしい136号に飛び乗り、
「クラウスさん。一緒に乗って下さい。この子が一番早いから!」
「承知した!」

 クラウスさんが後ろに乗るとアラスカヒグマが咆吼し、ヘルサレムズ・ロットの空に駆けていく。
 
「今度こそ君には、私がカイナの伴侶にふさわしいと認めてもらわねばな」

 私の腰を抱きながら、クラウスさんが136号の背を叩く。
 すぐに嫌そうなうなり声が返ってきたけど、私たちは笑う。

 私は後続のゴーレムたちに方角の指示を出しながら、旋回するように次元の穴に近づいていく。
 うわあ、規模がさっきより拡大してるなあ。隣のビルがポッキリ折れて次元の穴に呑み込まれていく。

「カイナ。接近の難しい対象だ。君も戦ってくれたまえ」
 信頼してくれるその一言が、何よりも嬉しい。
「はい!」
 気合いを入れて返事をし、

「絶対に明日までに片付けます! 絶対、絶対! 結婚式を挙げるんだから!」

 すると後ろでプッと吹き出す声。
「その意気だ、頑張れよ、チビ!」
「出来るだけ式場は守るようにするけど、ダメなら跡地でも祝ってあげるわ」
 ザップさんとチェインさんだ。

「カイナ! このあたりで下ろしてくれ。これ以上は君のゴーレムが巻き込まれる」
 スティーブンさんの言葉にクラウスさんもうなずく。

 そして私たちは地上に下り、ガレキと化していくヘルサレムズ・ロットに立った。

「行くぞ、皆!」

『応!』

 先陣を切るクラウスさんに続き、私たちは走って行く。

 理想とはちょっと違うけど、騒がしくも楽しい日々。
 明日のため、今日の世界の危機を救う。

 こんな日がずっと続く。

「カイナ」

 クラウスさんが振り向き、私の手を取ってくれた。
 二人で一緒に走る。


 光の中を。
 

 いつまでも、ずっと、離れない!!




 ――Happy End

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