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Love Distorted 【気象系BL】

第3章 禁断の果実




「…ふぅ」

俺は高層マンションの前に立ち、深呼吸をする。
約束した時間は午後6時…。

今はその30分前。
はやく来すぎたかな…。

マンションの前で、ソワソワしていると
俺のスマホが振動した。

あの日の後、偶然にも潤さんの家に配達の仕事があって、たまたまそれを受け取ったのが潤さんだった。

その時に交換した、メアドと電話番号。

今来たのも、潤さんからだった。

「妻が家を出た、と…」

内容を確認すると、奥さんが家を出たらしい。
あ、俺マンションの目の前に居るじゃん。

え、どうしよう…鉢合わせる
って思った時にはもう、遅くて…。

『こんにちはぁ♪』

「こ、こんにちは…」

もう下に降りてきていた奥さんと会ってしまった。

俺の事なんて知らない奥さんは、満面の笑顔で
俺に挨拶をすると、大きな旅行鞄を持って行ってしまった。

…ごめんなさい、俺あなたの旦那さんを
好きになってしまいました。

だからどうか、旦那さんは恨まないで下さい。

そう心の中で呟いて、潤さんの部屋の前まで
小走りで向かった。

部屋の前でもう1度深呼吸をして、インターホンをゆっくりと押した。

すると、すぐにドアが開いて…。

「う、わ…っ!」

潤さんの顔を見る前に、腕を掴まれて
扉の中へと引き摺り込まれてしまった。

ドアが閉まって、鍵の掛かった音がしたかと
思ったら…。

「ん、ぅ…ふ、あ…ん、っ」

玄関で、乱暴に唇を奪われてしまった。

「…んっ、じゅん、さっ…ん、」

キスの合間に、相手の名前を呼ぶと
我に返ったかのように顔が離れた。

潤「ごめんなさい…智に会えると思ったら
取り乱してしまいました」

「い、いいんですけど…その、ここでですか?」

俺が火照らせた顔でそう聞くと、潤さんが
微笑んで俺の頬にひとつキスを落とした。

潤「キスはここでも良いですか…?」

「キスは、ですよ…?」

俺がそう言うと、潤さんの右手が俺の腰に
巻かれ、左手は頬に添えられた。

「ん、ふあ…あ、んっ…ぅ」

そんな甘いキスに酔いしれていた俺たちは
背後から近付く不穏な足音に、気が付かなかった…。


















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