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あまりにも優しくて、どこまでも冷静な

第3章 後悔、する?


「だが桃浜、まだ苦しいの治まっていないんだろう?」
 伊豆くんは心配そうに私の顔を覗き込んだ。
 伊豆くんの顔が近い。ああ、彼は本当に優しくて、それにカッコいい…。

「伊豆くん…もう1回、私のお願い聞いてくれる…?」
「ん?」
「伊豆くんの、それ…」
 私は手を伸ばし、彼の股間にソッとと当てた。
「ここ…欲しい」

「いやさすがにダメだろ。妊娠したらどうするんだ」
 伊豆くんはピシャリと言い放った。
「でも…伊豆くんも、大きくなってる…。したいと思ってるんじゃないの…?」
 伊豆くんのズボンは膨らんでいて、その下のものが固くなっているのがハッキリわかった。ずっと冷静そうにしていた伊豆くんだけど、やっぱり興奮していたんだ…と思うと、私は無性に嬉しかった。

「いやまあ、そりゃあこんなことをしていたら、なあ。男は勃つんだよ。すまなかったな…」
 伊豆くんは少しバツが悪そうに言った。

「だから、私と…」
「それはダメだ。あのなあ、中出ししなくても妊娠する時はするんだぞ。そうなったら困るのは桃浜だろう?桃浜は女子なんだから、もっと危機意識を持って自分の身体を大切にしろ」
 真剣そうな表情で彼は言った。伊豆くん、本気で私のことを心配してくれてるんだなあ。

 私は伊豆くんの傍から離れ、部屋の隅に転がるものを取り上げた。
「何してるんだ?桃浜」
 尋ねる伊豆くんに対して、私は二つのものを差し出す。
「ん…?」

 コンドーム。
 そしてアフターピル。

「えっ…どうしたんだこれ」
「伊豆くん。私は伊豆くんとなら…嫌じゃ…ないよ」

 少しの間、沈黙があった。私も伊豆くんも、何も言わなかった。
 伊豆くんの顔を見るのが怖かった。なおも否定されたらどうしよう。
 ダメだ。
 泣きそうになってきた。
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