第23章 キミ色
「なんか、つまんねぇな。」
トランプをやろうと言い出したやつが、何を言っているんだ。まだ、試合は終わっていないのに。
「やろっつったのお前だろ。」
木葉さんも同じことを思っていたようで、私が言いたかったことを言ってくれた。
「だァーッ!…だって、綾菜の表情がねぇモン。そんなんつまんないだろ。」
私の表情がないのは分かりきっているはずでしょう。
…まぁ、つまらなくさせたのは私だし、そのせいでトランプも中断された。なら、私は部屋に戻ることにしよう。
「ごめんなさい。わたし、部屋にもどるね」
「いや、綾菜ちゃんは悪くねぇだろ。勝手につまらない理由を押し付けた木兎が悪い」
「綾菜、黒尾と何があった?」
…今その事について、関係ないだろう。…とは思ったけど、光太郎のその声音はものすごく低かった。普段ではこんな声を想像すらできない。
そのくらい低くて、怖かった。