• テキストサイズ

【HQ】キミ色オレ色

第22章 信頼



あの事件から5日たった。
その5日間は長いようで短くて。

病院に行ったり、警察の方や先生と話をしたり。
その間はいつも隣にクロがいて。
最近のクロは前みたいに冗談を言ってきたり、笑顔で会話をしてくれたり、クロと一緒にいるのはものすごく楽しい。

…だけど、クロと一緒にいるのはものすごく楽しいけど、1人になると何も出来ない。

お風呂に入るのも無理で、そのうえ、着替えることも出来ない。
服を脱ぐ、と言う行動がものすごく怖い。
夜は寝てしまえば大丈夫だけど、目を瞑ると嫌な記憶が鮮明に思い出してしまう。

嫌なことばかり考えていると、幻覚まで見えてきて。
コレはヤバい…そう思った時に光太郎とクロが私の部屋に入ってきた。

「1人で大丈夫だったか?」

「心配ありがとう。お陰様で大丈夫になってきたよ。」

それにしても、二人とも3年生で受験もあるのに…わたし、迷惑かけてるよね

「あの、2人のお陰様で本当に大丈夫になったから、…だから、もう大丈夫だよ。クロも光太郎も、この時期大事でしょ?部活とか勉強とか。…だから、」

だから、自分のことに専念して
そう言いかけたところで、クロに止められる。

「俺は、綾菜が大切なの。もし、迷惑かけてる、とか思ってるならそんなこと考えたらダメだ。木兎も俺も、迷惑だなんて思わねぇし、思ったことなんてないからな?
…むしろ、頼ってほしい、…じゃん?な?木兎」

「そうだな。てゆーことで、これからもどんどん頼って、そんでなんかあったらぜってー言うこと。いいな?約束だぞ」

本当に二人とも優しい。
でも本当に前よりも症状は軽くなってきてるんだけどなぁ…。

「で、時間も時間だし、3人で風呂入ろ♡」

「あ!?馬鹿じゃねぇの。3人で入るわけねぇじゃん、せいぜい2人だわ!」

「え、なに黒尾、オレと2人で入りたいの?いやーん、照れちゃう♡」

この後、結局クロと入ったけど、ずっと脱衣場から声をかけてくる光太郎をクロもめんどくさい、と思ったに違いない。

でも、そんなふたりのギャーギャーが私の心を落ち着かせてくれるのだから、不思議なものだ。

/ 537ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp