第19章 手のひら合わせて。
「綾菜、守ってやれなくてゴメンな…。」
そういうと、クロは私のことを抱きしめた。
静かな場所で、風の音だけが耳に入ってくるここは、クロの発する言葉を遮ることなく私に届けてくれる。
「そんなこと、ない。…私こそごめんなさい。」
「気にすんなよ、そんなこと。」
クロだって、私のこと守れなかったぐらいで気にすることないのに。
「あ、今私のこと守れなかったぐらいで、気にすることない、とか思ったダロ?」
…え、ウソ、こころ読まれてた?
「やっぱな(笑)…てか、守れなかったぐらいでってそんな事言うなよ、俺が綾菜守んないでどうすんの?それとも何?俺には綾菜を守るほど強くないと?」
「違う…そういう意味じゃなくて…」
なんか、色々と心を読まれて、その上ちょっとした誤解を生んでしまったような…。