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Baby blue【気象系BL】

第15章 消えぬ想い


【雅紀】

数日後、翔と偶然塾であった。

生徒と廊下を歩いてくる翔を見掛けて、
急いで顔を伏せて気付かれないようにした。

何でいるんだ?
今日は翔のバイトは入っていないはず…


「雅紀!」

「…翔…来てたんだ…」

声が上擦るのを、何とか戻そうとする。

「うん、先輩のピンチヒッターでさ。
雅紀、今から?」
「あ、いや、今日は終わった…」
「ホントに?じゃ、ご飯でも行こうよ!」
「あ、いや、でも…」

当然断る気でいた。
翔とふたりでなんか、話すことも………

何も…………


「それとも、予定ある?」
「………いや。行こっか」


俺がオッケイすると、翔はパッと笑顔になった。

屈託のないその顔に、
俺はぎゅっと奥歯を噛み締めた。


俺たちは近くのファミレスに行った。

奥の席に案内されると、入り付近に座っていた女子高生たちが、翔を見て『キャッ』っと声をあげる。

……そう。
翔が歩くと、誰もが振り返る。

目を引く華やかな見た目に、
爽やか系の服装も好感度が高いし…

そんなことろが俺も好きだった…

今だって……


別に、翔が悪いんじゃない…
俺が『Jとは関係を持たないで欲しい』
って、お願いしてた訳でもないんだし…

何なら、俺たち3人の関係を、
翔は知らなかったんだろう。

だから…
翔を恨むのは、お門違い……

分かってるけど…

「……雅紀…?」

「えっ??あ、ごめん…考え事してた…」

「大丈夫?雅紀、この頃元気ない気がするけど」


誰のせいだと思ってるんだよ!
おまえのせいだろう??

何にも知りません、みたいな顔して…

「雅紀はいつも元気だからさ、
俺も雅紀を見てるだけで、元気貰えてるんだよね~」

………屈託のない笑顔で、翔が笑う…


その笑顔はもはや、罪でしかない…

「…そんなこと、ないよ…」

そう答えるのが精一杯だった。


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