第9章 サンタクロースは眠れない(ラッド)
コンコンコンーーー
ドアの向こうから「どうぞ」と、しっとりとした男性の声が聞こえる。
シーナが「失礼します」と返事をしてドアを開けると、ラッドが書類整理をしながら紅茶を飲んでいるところだった。
「帰ってすぐに呼び立ててすまなかった。新しい服はどうだ?」
トントンと書類をまとめながら、シーナの方へと視線を移す。
「えっと……ちょっと派手なような…」
「派手かー。赤だもんな。…ショール取ってみてくれるか?」
「は、はい」
ドサドサドサ…!!
シーナがショールを脱ぐと、ラッドは手に持っていた書類を落としてしまう。
「ラッド様…?」
「シーナッ、ごめん、もう大丈夫だ。何を着ても可愛いなー、ショール着ていいぞ。」
ラッドは慌てて書類を拾おうとしゃがむと、シーナも手伝おうと隣に来る。
あまりの衝撃的な姿にラッドはなかなかシーナを見れず、視線を落としたままようやく口を開くと、
「…説明不足で悪いんだが、…ブラウスの上に着てもらうつもりだったんだ……」
「ええっ!…どおりで……」
シーナはショールでからだを隠すようにどんどん小さくなる。
すみません、と消えそうな声で呟くと真っ赤な顔を両手で隠した。
「シーナは何を着ても可愛いけど…こんなにセクシーな姿は誰にも見せたくないよ」
ラッドはシーナの肩を抱き、耳元で甘い声で囁く。
「着替える前に、もう1度見せてくれないか…?」
「っ……ラッドさま……」
そのままシーナを抱いて、デスクの上に座らせると、
体を覆っているショールを優しく剥ぎ取る。
白い腕と華奢な肩が現れ、シーナはかなり深くあいた胸元を両手で隠した。
「…うん。すごく可愛いよ。」
そっと頬へキスをすると、シーナの手を解く。
「このまま俺だけのサンタクロースでいて欲しい」
シーナは小さく頷くとラッドの背中に腕を回した。
***
結局、制服は今まで通りのものを着ることになったとか。
-end-