第1章 お薬飲めたね(リュカ)
「シーナちゃん、大丈夫…?」
かなり熱の高そうなシーナのおでこを触りながらリュカが言う。
「お薬飲めるかな?」
ハルからもらった薬を一包とりだして、水に溶かす。
シーナは、いまリングランドで猛威を振るっている感染症にかかっていたのだ。
「ハルが言うには熱が出るだけで数日で良くなるらしいけど…早く良くなってね?」
寝乱れた前髪を直しながらシーナに話しかける。
握りしめたグラスをチラッと見ると、
リュカは頬を染めて、
「………シーナが早く治るように、俺が飲ませてあげる。」
熱にうなされるシーナの顎をクイッと持ち上げると、グラスの水を口に含ませる。
そのままリュカはシーナに口付けて、
「んっ……、ぷはっ…」
人肌に温めた薬液をシーナの喉へと流し込んだ。
こくっと飲み込むのを確認するともう1度唇を触れ合わせて、
「大好きな君がはやく治りますように…」
暖かい毛布を肩までしっかりかけなおすのだった。
ーendー