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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第11章 目眩がするほど


好きなのは曲だけではない。

当時二十歳の佐久間さんは、あどけない少年の面影を残しつつも、色気のある大人の表情で見る者を魅了する。

柔らかそうなウェーブのかかった長い黒髪は昔から。

顎の髭はまだ無いが、優しく微笑んだ瞬間にチラリと見える八重歯は今も変わらない。



かつての姿にさえも胸をときめかせているなど、正直佐久間さんには気付かれたくはない。



「この頃…忙しかったなぁ。」

「そうなんですか。」

「ライブもそれなりにやってたし。
作品もどんどん出さなきゃって時で。」

「この年…アルバム2枚リリースしてますもんね。」

「そうなの。
高杉はほとんどの曲と歌詞を書いてるから、俺達なんかとは比べ物にならない位忙しかったと思うよ。
“がむしゃら”って表現が一番合ってるかな。」

「このライブの時の高杉さん…ちょっとやつれてますもんね。」

「もうこの頃はほとんど家にも帰れなくて。
事務所が用意したホテルで暮らしてたはずだよ。

曲は出来てても歌詞がまだとか。

ミュージックビデオの撮影でも必ず最後までかかるのはボーカルの高杉だし。」

「そうなんですね。」



本人の口から直接、当時の話を聞けるのはとても貴重な事だ。






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