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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第10章 まばたき●


ずっしりと重い大学の卒業アルバム。

厚い皮の表紙を開く。

個人写真のページを眺め、差出人の同期の名前を探した。



相変わらずの無表情な私の隣に、同期の写真はあった。

にこやかに微笑む黒髪の女性。

もちろん卒業してから一度も会った事は無い。



あまり接点はなかったように思っていたが、こんな私の事を覚えていてくれたという事が単純に嬉しかった。



「…行ってみようかな。」



そうぼんやりと呟いた時だった。



リビングから高杉さんの笑い声が聞こえてきた。



私は急いで卒業アルバムを段ボールの中へとしまう。

その瞬間、段ボールの中に入ったままとなっていた写真立てが目に入った。



それは以前、アパートの部屋の出窓に飾ってあった母との写真。

忙しさにかまけて後回しになっていたが、きちんと荷物の整理をしなければと、段ボールの中から写真立てを取り出した。



埃を払い、棚の上へと写真を飾る。



故郷の桜の木の下、二人で並んだ写真。



ふと、母にも早く引っ越しの知らせをしなければと思った。






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