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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第10章 まばたき●


「甘い 甘い strawberry…」



そう歌った直後だった。

後ろから伸びた手に、突然イヤホンを外された。

私は驚き、小さな悲鳴を上げてしまう。

佐久間さんが帰って来ていたのだろう。

イヤホンをしていて気付かなかった。

私の鼻歌を聴かれはしなかっただろうか…。



「おかえりなさい。」



慌てて後ろを降り向くと、そこには満面の笑みを浮かべる高杉さんがいた。



「ただいま。」

「…高杉さん?」

「先生、ずいぶんご機嫌だね。」

「いえ…。」



戸惑う私の事などお構い無しに、高杉さんはイヤホンを自身の耳に付ける。



「アイヴィー聴いてくれてるんだ。嬉しいな。」

「あ…はい。」



こうして会うのは、高杉さんがアイヴィーのヴォーカリストだと知ってから初めてだった。

以前、深夜の音楽番組で観た色気のある横顔を思い出す。

今日は長めの明るい髪をラフに束ねているが、それでも直視し難い独特のオーラをまとっていた。






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