• テキストサイズ

*トライアングル*【R18】

第18章 Trick or treat!





「誰がセクハラ吸血鬼だよ」

「あなたしかいないでしょう?」

「………」

リアンくんと皐月くんの間に火花のようなものが散って見えるのは気のせいだと思いたい…


「と、とにかく…一旦戻ろう?そろそろ可南子ちゃんとも合流したいし…」

「桜子さんがそう言うなら…」

「つか、今更アイツらと合流しなくてもよくね?」

「もぅ、またそんな事言って…」

本当にこの2人は正反対の事を言う。
そんな中、皐月くんが何か思い出したように「あ…」と声を漏らした。


「そう言えば俺…まだ桜子さんに"アレ"言ってもらってません」

「…アレ?」

「はい、ハロウィーンで使うあの言葉です」

「……、」

それはさっき、私がリアンくんに言われた例の言葉だろうか?

(皐月くん、何かお菓子でもくれるのかな?)

不思議に思いながらも、試しに「Trick or treat?」と口にしてみる。
すると彼は満面の笑みを浮かべて…


「それじゃあ思う存分、俺に悪戯して下さい」

「…え?」

「俺、お菓子持ってないんで」

「………」

(そんな得意気に言われても…!)

戸惑っている私の事などお構いなく両手を握ってくる彼。
そして右手の指先にチュッとキスをしてきた。


「さ、皐月くん!?」

「…悪戯してくれないなら俺がしちゃいますよ?」

「っ…」

「おい…いい加減にしろよ変態狼」

私たちのやり取りを見ていたリアンくんがそう口を挟む。
けれど皐月くんが私の手を放してくれる気配は無くて…


「リアンさんはもう十分楽しんだでしょう?今度は俺の番です」

「お前が邪魔したせいで、まだキスしか出来てねーよ」

「ちょっとリアンくん…!」


その後も2人の言い合いは続いたが、いい加減何とかしなくてはと思った私はある事を閃いた。

(恥ずかしいけど、もうこれしかない…)


「ふ、2人とも…!」

「…はい」

「…なんだよ」

「け…喧嘩は……、やめてほしい……にゃん」

「「………」」

私がそう言えば、案の定ピシリと固まる2人。
皐月くんの手から逃れる事が出来た私は、彼らに背を向け猛ダッシュで逃げ出した。


「桜子さん…可愛い」

「…後で覚悟しとけよ」

そんな2人の呟きは、会場からの大歓声に掻き消されるのだった…



*
/ 248ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp