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【ハイキュー!!】月と影の奏で R18

第4章 風月


「な…何笑ってんだよ。ボゲェ。」

「なんでもないよ!どこ行こうか?…海とか?」

影山くんは少しだけ驚いた顔をして、すぐに前に向き直して歩き出した。

「うっす。」

背中越しの影山くんの声が、何故だがじんわりと心に染みる感じがして…
私は影山くんの背中に向かって語った。

自分の事。
蛍の事。
私達2人の事。

海に着いてからも、影山くんはろくに喋らず、
砂浜に並んで海を眺めながら、ずっと私の話を聞いていた。

私が蛍を好きな事。
蛍はきっと私が嫌いな事。
なんで嫌われてるのか、検討もつかない事。

どれくらいの時間そうしていたんだろう。
ここ最近無かった心落ち着く時間で…
誰かに聞いてもらうだけで、こんなに気持ちが楽になるのか…なんて考えていた。

「皐月、悪りぃ。俺、そろそろ部活しに戻る。お前は…どうする?」

あぁ、もうそんな時間なのか。
正直言うと、部活なんてどうでも良くて、
このままここに居たい気持ちが強かった。
が、バレー馬鹿で有名な影山くんを引き込む訳にはいかない。

「私は…ごめん。今日は体調悪いから、このまま家に帰る。」

「おう。その…時間無くて、家まで送ってやれなくてごめんな。」

私が休む事は最初からお見通しだったのか、
影山くんは予想外の気配りを見せる。
正直…意外だ。
バレー以外の事になると、全てが適当な人だと思っていた影山くんが…ちゃんと男の人に見える。

そんな失礼極まりない感想をぼんやりと思い浮かべていると、
すぐに立ち去ると思っていた影山くんが、ジッとこちらを見ている。

失礼な事考えてたのが、バレたのかな…。
何か…言い忘れた事でも…。
あっ、言い忘れたのは私だ。

「あっ…影山くん。今日話したことは…」
「言うか。ボゲェ。」
「蛍にも…」
「…。おう。」

これで一安心だ。
寄せては返す波打ち際に視線を向ける。

「なぁ、皐月。」
「ん?」
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