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キミと部室で隠しごと

第2章 そういうところが好きじゃないんだ


「なあ」
 伊豆くんが言った。
「何してたんだ?ひとりで、電気もつけないで」
 ドキリ、と心臓が鳴った。オナニーしてましたなんて、言えるわけないでしょ。なにか言い訳を考えないといけない、私は頭をフル回転させた。
「ん…と。もう、帰るところだったんだよ。だから電気も消してたし。でも…そう、靴下がずり下がっちゃって、直そうと思って椅子に座ってたの。そしたら伊豆くんが突然入ってくるんだもの、驚いて椅子から落ちちゃったよ、私」
「電気もつけないで靴下直してたのか?」
「靴下上げるくらいでいちいち電気つけないよ。窓の側ならそこそこ明るいし」
「ふぅン…そういやそうだな」
 伊豆くんは何かを考えるように、口元に手を当てた。何を考えているのだろう。彼の行動はよくわからない。そういうところが好きじゃないんだ。
「じゃあ、とにかく、私帰るね。伊豆くんもはやく帰ったほうがいいよ」
 私はそう言うと、さっさとこの場から逃げ出したくて、伊豆くんの横をすり抜けて部室から出ようとした。その時

グッ

と、腕を引かれた。
「んっ…?」
 驚いて伊豆くんの顔を見ると、真剣な面持ちで、まっすぐにこちらを見下ろしてくる。鋭い目が、少し怖かった。
「な、何かな?伊豆くん。離して欲しいんだけど…」
「オレ、下校時間過ぎても少し自主練することにしているんだ、いつも。もちろんそんなのは校則違反だから、他のメンバーは先に帰ってしまうがな…。だが、オレは今日も自主練をしていて、それで…」
 ああ、だから彼はこんな時間までユニフォーム姿のままだったのか。でも、そんなことは、私にはどうでもいいんだけどなあ。
「それで…お前が、部室でオナニーしてるの、見つけて…」

え?

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