第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ユーリは静かに眠るローの傍でその様子を伺っていた。
ユーリの運んだ食事は取り合えず全て食べてくれたが、本当に疲れていたのかそのまますぐに眠ってしまった。
顔の表情にも疲れが出ており、目の下の隈なんて言わずとも分かるだろう。
ユーリとこうして再会できるまで休まずに動いていた為、そのツケが一気に今やってきたのか。
因みにユーリも病み上がりなので別の部屋で休んでろと言われたが、この1か月寝すぎてもう寝れないのでここにいることにした。
何気に風邪がうつることを気にしているローにユーリは今更そんなの気にするなと伝えたかった。
今まで必死にユーリを助けてくれたローだから、別に風邪をうつされるくらいなんともないのだ。
と言ってもユーリは今まで風邪らしい風邪を引いたことがなかったので、変にうつらない自信があった。
まぁそんなこと言えば馬鹿はなんとかと言われそうなので黙っていたが。
(それに昨日に引き続きローの貴重な寝顔だ、これを機に見納めないと!本当、カメラとかあればよかったのに)
まったくもって失礼なことに、ユーリ脳内はあまりローのことを心配していなかった。
ユーリの持っている能力のこともあるが、この程度でローが死ぬとは思っていない。
彼の性格上、逆に心配してあれこれされるほうが嫌なのだろうとなんとなく察していた。