第1章 嘘つきでごめん~藤堂平助篇~
藤堂「あ、千鶴!!」
千鶴が同じクラスの奴に告白されたって聞いて、俺はいても立ってもいられなくなり、校内を走り回った。
千鶴「平助くん?どうしたの?」
でも、千鶴は優しいから、告白を断ったことに負い目を感じるのはいつものことで、酷い時は泣くこともある。
藤堂「いや…お前が泣いてるって聞いて…」
千鶴「そっか…ごめんね、心配させて…」
心配?
俺のこの気持ちは、そんな優しいものじゃない。
俺は千鶴を盗られたくなくて、怖くて…心が狭いだけなんだ。
だから、謝んないでくれ…俺が謝らなきゃいけねぇのにさ。
藤堂「別にいーよ。でも、お前は悲しまなくていいんだよ」
それに、こうして優しい言葉をかけるのは、お前の悲しみとか苦しみに漬け込んでるだけだから…。
千鶴「ありがとう…」