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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第7章 恋慕


エミリが調査兵団に入団して半年が経った。
その間に三回の壁外調査が行われたが、フィデリオ達も重症を負うことなく元気に過ごしていた。

そんなある日のこと、エミリはペトラと共に久し振りの休日を楽しんでいた。二人で街に出て、買い物をしたりご飯を食べたり……いつも兵士として過ごしてきたせいか、こんなにも女の子らしく着飾って外出するのは本当に久し振りだった。


「ねぇ、エミリ」

「ん?」


一通りの買い物を済ませた二人は、近くの喫茶店で休憩していた。
エミリがケーキを頬張っていると、ペトラが少し真剣な表情をしてエミリをじっと見ている。


「どうしたの?」

「エミリって……好きな人とかいないの?」

「……へ? 何でいきなりそんなこと」

「だって、エミリのそういう話、あんまり聞かないから」


あまりにもペトラが真剣な顔をするから何かと思いきや、予想していなかった質問にエミリは少し戸惑う。

ペトラがエミリにそんな話をしたのには、一つ理由があった。
同期の女の子達とよく恋愛についてお喋りすることは多く、エミリやペトラもその輪に混じって話に参加することもよくあった。

皆、それぞれの恋愛経験について語る中、エミリはいつもお菓子を摘みながら聞き役に徹しているだけ。
ある時それに気づいたペトラ達は思った。『エミリが一番、すごい恋をしているのではないか』と。


「という訳で、今日出掛けるついでに、エミリに聞くように皆から言われてるのよ」

「何よそれ……別に大した事ないわよ」

「つまり恋はした事あるのね」


興味津々なペトラだが、エミリは少し面倒臭そうに街を行き交う人々を眺めていた。

そう、大した事ない。
人を好きなるのは素敵なことだし、例え失恋したとしてもまた誰かを好きになれたら……とは思うけど、それももう、出来ないだろう。


(だって私達は、兵士だから……)


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