• テキストサイズ

Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第3章 入団


地下街出身であるリヴァイは、その話を知らない。流行病の話もグリシャ・イェーガーという名も初耳だった。


「どれどれ……この子は、主席で卒業してるね。立体機動の技術は優秀とはいえないけど……対人格闘と座学が得意みたい。それと、彼女は忍耐力や精神面について高く評価されている」


成績は身体能力や精神面、資質評価などそれらを総合した三年間の評価から成る。
敏捷性、耐久力、柔軟性、判断力など、決して身体能力のみで結果が決まる訳では無い。

エミリは、立体機動の扱いは少々劣るも対人格闘の素質はあり、また座学はトップの成績を収めている。しかし、キースが評価したのは、それらよりも精神面や判断力の能力値の高さだった。


「へ〜、この子、雪山の訓練もぶっちぎりのトップだよ」

「雪山? 何だ、それは」

「ああ、そっか。リヴァイは知らないんだったね」


訓練兵団を卒業するに当たって、必ず参加しなければならないのが雪山での訓練だ。

マイナス10度の極寒の地で目標地点まで辿り着かなければ、訓練兵団の全課程を終えることはできない。勿論、遭難者も出るしその訓練で死人だって出る。


「あれはキツかったよ〜。私も遭難しかけてさ」

「お前の話はいい」

「冷たいなぁ。ま、とにかくだよ、あの雪山訓練でトップの成績をとることはなかなか難しいことなんだ。根性あるんだね、あのエミリって子は。それに、あの日、シガンシナ区であの惨劇を受けたみたいだね。さっきのフィデリオって子もそうだ」

「そうか。それは期待できる」


調査兵団は、いつ死ぬか分からないような世界だ。どれだけ優れた腕を持った兵士でも、巨人の恐怖に負けてしまえばもう戦えない。調査兵団で生き残るには、それなりの技術と精神力が必要なのだ。

しかし、エミリとフィデリオは違う。一度、見ているのだ。巨人も、ヤツらがどうやって人を食べるのかも、死にゆく人達も、全てを見た。

何も知らずに調査兵団に入ってきた新兵とは、それだけで大きく意味が変わってくる。


「あとは………え!? ちょっと、エルヴィン!!」

「うるせぇぞ、クソメガネ」

「このエミリって子、うちの班にちょうだい!!」


いきなり騒ぎ出したハンジにリヴァイは顔を顰め、エルヴィンは落ち着くように促す。

/ 727ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp