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Diable Patron

第8章 二人の昇進と二人の進歩


裕Side


仕事から帰りキッチンでオレンジジュースを飲む。


数日、由架に会えてない以上、俺を元気付けるアイテムなどオレンジジュースしかない。



[人肌に触れたい。]



正確に言えば、由架に触れたい。



明日で由架が取っている有給も終わる。



俺は彼女が出掛けていった夜、慌てて電話をかけて以来連絡を取っていない。




ゆっくり休んでほしくて。


[彼女に嫌われるのが嫌で。]




俺はいつだって自分本意だ。




そして自分本意な自分を変えたいと由架にあって思うようになった。




だから、昇進話もしっかり話そうと。



これからのことはちゃんと二人で相談してきめようと。



自分だけで考えるのをやめようと。




そう心に決めた。



そのあと俺はキッチンに置いてあった折り畳みの椅子になんとなく腰掛けた。




やがてだんだん眠くなってきて少しだけならと思い突っ伏していた。




けれど俺はいつも何か眠りについていて。



目が空いたのはちょうど由架が帰ってきた頃だった。




彼女は俺を起こさないよう、キッチンを立ち去ろうとしたが俺はたまらず、服の裾をつまんでひきとめる。



「おかえり」



「ただいま」



そんな挨拶を交わして、すぐに触れたくて。



俺は咄嗟に由架を抱き締めた。



たった数日、それだけなのに1年以上離れていた、そんな気がしてしまう。



けれどそれは、一週間にもみたないごく[数日]



けれどそれで改めて気づかされる。




由架という存在がいかに自分に大きな存在で、大切な存在なのかを。




俺はどうやら、彼女無しでは生きられない体になってしまったらしい。
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