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Diable Patron

第7章 兄の考えと二人の気持ち。


壮Side



仕事を終わらせてから裕を呼び出す。



莉架には「今日は夜は外で食べてくる。」と伝えてから出てきた。




俺の弟は昔から頭が良くて。



就職してからも、どんどん出世していった。



だから、その点について心配したことは一度たりともない。



けれど、弟のことを心配する点は歩かにあって。



それが恋愛だった。



好きな人ができたなんてワードを俺は弟から聞いたことなんて一度たりともなくて。



だから由架ちゃんと付き合ってると知ったとき驚いたし、どうしたらいいかもわからなくなった。



義理とはいえ、彼女は俺の妹だ。



いくら実の弟といえど、俺の妹を傷つけられるのは嫌だった。



もちろん、疑うのは嫌だった。けれど、それでも二人が別の意味でそれぞれ心配だった。



その心を胸に、俺は飲み屋で呼び出した裕を待つ。



「兄さん」



しばらくすると後ろからいつもの声が聞こえた。



「あ、裕。」



俺が声をかけるとそこにはいつになく落ち込んでいる様子の弟の姿があった。



座ってそうそう裕は俺にこう言う。



「まだ…俺に何か言うつもりなのか、兄さん。」




「今日は何か言うつもりで呼んだ訳じゃないよ。ひとつだけ伝えたいことがあったから呼んだんだ。」




弟の落ちた声。



こんな声を出した裕を俺ははじめてみた。



ただ、俺は誤解を解きたくて。



本当の二人の気持ちを聞きたくて。




二人がお互いにたいして本気だってことを知りたくて。



俺は多分裕を呼び出したんだと思う。




俺がもし、二人に少しでも影響を与えたのなら。



二人の幸せをどんな形であったとしても、



どんな理由があっても、



妨害してしまっていたのなら。



俺は一言謝りたい。




「この前は本当に悪かったと思ってる、ごめん。」
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