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Diable Patron

第4章 私の好きだった人


翌朝。



体はスッキリとしていた。



昨日のからだの重さもなく、スクッとベッドから起き上がった。



寝室の扉を開けてリビングへと向かう。



するとふわりといい匂いがした。



リビングの扉をあけるとキッチンに部長が立っていて「おはよう。体調はどうだ?」と私に言う。



「おかげさまで、よくなりました。今日は会社に行けそうです。」



私はそう言う。



「飯できてるからよかったら食べろ。有り合わせで作ったからそんないいものじゃないが。」


そう言う部長の指差した方向を見ればそこには以前見たような朝食が並べられていた。



「ありがとうございます。」



私はそうお礼をいって机の前に座る。



並べられた食事に手を伸ばして食べれば、部長が料理に手慣れていることがわかる。



私はいつも朝食を食べない。


だから食パンなどの朝食の定番食材がないなかこれを仕上げたと思うとすごいと思う。



味はやっぱり美味しくて危うく涙が出そうだった。




部長は私の前に座って朝食を食べ始める。



その合間に部長は「俺は一度家に帰ってシャワー浴びてから会社に行く。ついでに送っていってやるから準備をしておけ。」と私に言った。



「シャワーならうちの使ってください。散々お世話になったので。」



私はそう呟く。



この時ふと思った。



部長とは付き合っているわけではないし、ただの上司なのに[幸弥]と半同棲していたときよりよっぽど恋人らしいことをしている気がすると。



そして、それに対して悪い気もしない。



部長への苛立ちも数日でかなりなくなった。



[いろいろあったけどこれからは、この部長の下でやっていける気がする。]



私は心のなかでそう思った。



「じゃあ言葉に甘えて、シャワー借りる。」



そう言う部長に、私はバスタオルを出し手渡した。


場所を伝えると部長はスタスタと歩いていく。



それを見送った私は自分の出掛ける用意を始めた。
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