第1章 大嫌いな上司
自分の所属部署に着くと一部分だけ電気がついていてそこには氷山さんがいた。
ひたすらパソコンに向かって仕事をしていたようだった。
「お疲れ様です。」そういって私は氷山さんのデスクの上にエクレアとブラックの缶コーヒーを置いた。
すると、部長はいつもかけていた眼鏡を外し、「お疲れ。早速だがそこに置いてある資料直してくれ。」といって私のデスクの上を指差した。
そこにはかなり大量のプリントが置いてあり、全力でやれば時間に間に合うくらいの量だった。
私は「時間的にこんなにできるかわかんないです。」という。
「なら、やれる分だけやってくれ。半分は絶対終わらせろ。」そう部長は言い放った。
正直パワハラに近いなと思っている自分がいる。
それに私はこの部署にきて半年も立っていない。
なのにわざわざ何故私を指名するのかわからない。
部長の顔面があれば女の子ならひょいひょいと手伝ってくれそうなものだ。
私は「今日の出勤は私と部長だけなんですか。」ときくと「そうだな。ま、頑張れよ」そういって仕事へと戻った。
世の中仕事を異常なくらいに押し付ける上司は山ほどいるが、毎回部長はその仕事一緒に終わらせている。
本来、そうゆう人は自分が早く帰りたい等の私欲の為だがその点では部長は少し違った。
それでもかなりの量だが。
なので回りにパワハラだろ!とも言えない。
一体何のためにそんな量の仕事を押し付けるのか、わけがわからない。そう思いながらも私はエクレアを食べながら黙々と修正作業を始めた。
正直見ていて嫌になる量だが、珍しく部長もできるだけでいいと言っているし、なんせ姉と結婚する人と顔合わせするのだから、遅刻するわけにもいかない。ましてや、向こうの弟さんも来るのだから自分だけ遅刻など論外だ。
私は時間を気にしながらもカタカタカタカタと仕事を続けた。
ある程度終わらせてこまめに確認作業を部長にお願いする。
何度目の確認だろうか。
部長のデスクに持っていくと部長は爆睡していた。
爆睡している割には顔が整っていて、眼鏡が外れかけている。
正直、こんな美形なのが憎たらしいなと思ってしまった自分がいた。