第3章 上司のしたかったこと
翌朝、俺は驚いて目が覚めた。
それには理由がある。
携帯がなり、いつも通りのアラームかと思い携帯の画面を見た。
そこには日向の名前が写っていた。
いつも日向から電話がかかってくることはなかったからだ。
俺は内心喜びつつ、電話に颯爽と出た。
「もしもし、おはようございます。日向です。ゴホッゴホッ」
電話にでたはいいが、いつもと様子がおかしい。
「どうかしたか?」
俺は慌てるあまり、冷静を装うとしすぎてかえって冷たい態度をとってしまう。
「ちょっと、風邪をひいてしまって、今日は会社を休みたいんですが大丈夫でしょうか?」
少しいつもと違う声の日向に戸惑いながらも
「わかった。休みは有給にしておく。ゆっくり休め。」
そういって電話を切った。
いつも日向に何か予想外のことが起きたりされたりすると俺は毎回戸惑ってしまう。
今日の仕事は憂鬱だ。
その辺では俺も考えが子供なのかもしれない。
今までは仕事人間として生きてきた。
学生の頃は勉学ばかりをして友達とは遊んでいなかった。
回りには彼女がどうのといってるやつはいたが、あの頃の自分には[恋愛]は必要なかったからだ。
けど日向に出会って気付かされた。
[恋愛は必要か必要じゃないかじゃない]
[いつの間にかしているものなのだと。]
俺が日向のことを初めて見たのは去年の春だった。
とある部署に資料を渡しにいったときのことだ。
その部署に書類を渡して帰ろうとしたとき。
ふいにあいつが目に入った。
仕事がうまいわけでもないのに、なんとなく輝いていた。
その輝きは俺にはとっても眩しく、俺はこんなやつと仕事できたら楽しいのかもなと思いながらその場を去った。
そのあとも何度も何度も理由をつけてその部署へと足を運んだ。
何度見ても輝いていていつのことだっただろうか。
これが恋愛なのかと思い始めた。