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Diable Patron

第12章 上司と部下の張り合い


裕と出掛け、新山くんと会ったあの翌日から、うちの部署や、フロアは仕事の進みが良くなっていた。



まぁそれも、裕のお陰なのだけど。



と言うのも、あの日の電話は大きなプロジェクトが始まることを伝える電話だったらしく、それを電話口で聞かなかった裕は翌日、私たち各部署の部長と共にその話を聞くことになった。




そしてそのプロジェクトは社員総動員で動くことになる仕事で、私たちは他の仕事をプロジェクトが始まる前に終わらせることで頭が一杯だった。




それを配分よく、割り振ってくれたのが裕、本部長だ。




「日向、今日期日のは終わったか?」



そう本部長に声をかけられ、



「はい、終わりました。次の仕事回してください。」



という。




仕事は本部長の要領のいい割り振りでたまっていた訳ではなかったものの、他のフロアの部署がためていた仕事が私たちのフロアにも流れ込み、とても残業なしというわけにもいかない状況になっていた。




けれど、いくら仕事が貯まっていたとしても社員総動員で残業をすれば残業代はおぞましいことになる。




そのため、上から経費削減も兼ねて本部長、部長、その他仕事が出来る一部社員しか残業させないようにといわれていた。




まぁそういわれる時点で、私たちは残業確定で。



ここ一週間は泊まることも少なくなかった。




けれど、ここまで怒濤な日々は部長職についてから初めてで疲れが日に日に出始めていた。




残業中、どのデスクにもエナジードリンクと書類の山。




いくらの仕事が好きな裕にも少し疲れが出ているようだった。




そして私の目の前のデスクには新山くんの姿。



彼も残業をすることになっている。




そしていつも顔にひとつシワを寄せず、仕事をしていた新山くんにさえ、疲れのせいか眉間にシワがよっていた。
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