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# 3104【気象系】

第5章 # 000000


浜辺に座り込み、黙り込んだまま海を眺めていた



『ずっと居てぇな、此処に…』

『馬鹿なこと言ってないで、ホラ』




差し出された左手は掴まなかった




『じゃあもう知らないからね?
俺、行くよ?』




足音が遠ざかって行く






『ゴメンな…』





届くはずない懺悔の言葉をカズの背中に告げて、僕は
音を立てずに
気付かれないように
灯台へと走った
二つ折りの携帯電話を砂浜に残して



『はぁっ…、はぁっ…』



声が、
音が、
やけに響く

ズボンのポケットから取り出したプリペイド携帯電話
その携帯から、カズに
砂浜に残してきた自分の携帯に電話をかけた





確信犯だった


カズとあの絵を見て
中華料理屋へ行って
その帰りに海に誘う
カズを怒らせて…黙って消えようと

そうすればきっと僕が行方不明になったと騒ぎになるに違いない
でもそこで終わりじゃ駄目なんだ
これが僕の計画であると 母さん自身が気付かないと


ここに来る前
勉強机の上にメモを残してきた

そのメモの意味が分かるのは
母さん
貴女しかいない








妙に落ち着いていた
電話を受けたカズの声はかなり焦っていたけど





『カズ…俺の空の青はね、海の青なんだよ』





譲れなかったんだ


カズが好きだと言ってくれた僕の青に
手を加えた貴女が赦せなかった
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