第5章 選択と決意

猫又監督が烏野を誘ってくれた時、武田先生にそう頼んだらしくて…武田先生は、期末テストの話が上がるより前に、ちゃんと話してくれた。


私にとっては嬉し過ぎる申し出だし、即答でやりますって返事したんだけど…


暦
「ACの話と関係あるんですか？」


烏養
「マネージャーとコーチじゃ試合を見る視点が違うだろ」


暦
「それはそうですけど…」


マネージャーとコーチじゃ、役目も目的も違うし…


烏養
「だがお前は、いつもプレーヤーの視点で試合を観る。誰よりも真っ直ぐな目でな」


暦
「………」


烏養
「プレーヤーの視点は…マネージャーとコーチ、どっちに近いと思う」


暦
「そんな質問…誰だってコーチって答えます」


烏養コーチの話は否定しない…でも、それを聞いたって納得なんて出来ない。


暦
「烏養コーチは、私を評価してくれてますけど…私は、自分がコーチに向いてるとは思えません」


だって私は…


暦
「選手だった中学時代、私は自分の事しか考えていませんでした」


自分のチームを壊してしまった、酷い選手だったから。