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ハリー・ポッターと純血の守護者

第9章 【心の声】


 それから数日の間、ロックハートは「よくもまあ」と感心できるほどクリスたちの目の前に姿を現した。まるで自分の授業以外の時間は他の先生にちょっかいかけている様で、授業が始まる前には必ず姿を現し、自分が如何に闇の魔術に対する防衛術以外でも役に立つと自慢して回っているようだった。
 その度ハーマイオニーが感心したようなため息をつくので、クリスとハリーとロンの3人は彼女に隠れて絶望に似たため息を洩らした。あれ以来、ハーマイオニーのロックハート病はとどまる事を知らず、3人はこそこそロックハートの悪口を言い合ってやり場のない憤りを発散させていた。
そして一週間とたたずうちに、もはやクリスの我慢は限界に達していた。なんと彼はスネイプの授業前にさえ姿を現し、自分が如何に魔法薬学の知識に長けているかを吹聴し、スネイプの睨みを得意のチャーミング・スマイル一つで回避して教室を後にした。その後被害を被るのはグリフィンドールの生徒たちで、機嫌を悪くしたスネイプはいつもの3倍はいやみったらしい授業にしてくれた。

 しかし、もっと可哀想なのはハリーだった。ロックハートに目をつけられたハリーは廊下で出くわす度、まるで心の友と書いての心友のように呼び止められ、あれこれ立ち話を始めた。それだけならいざ知らず、これまた厄介なのが例のカメラ小僧のコリン・クリービーという少年で、ハリーの姿を見つけると50メートル先からでもハリーを呼びとめ、挨拶を求めた。おかげで移動教室のたび、ハリーはビクビクしながら廊下を曲がる羽目になった。

 そして待ちに待った土曜日。この日は朝からハグリッドのところに遊びに行こうと約束していた。クリスが目を覚ますと、既にハーマイオニーの姿はなかった。時計を見るともう朝食の時間はとっくに終わっている。いつも通り起きない彼女をおいて先に出かけたのだろう。クリスはあくび1つすると、ゆっくりとベッドから起き上がった。
 別において行かれるのは今に始まったことではない。クリスは身支度を済ませると、グリフィンドール寮を後にした。ハグリッドの家はホグワーツを取り囲む禁じられた森のすぐそばに立っている。彼はそこで森番として暮らしているのだ。
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