第3章 30センチの縮め方/ky
「チービ。」
何かにつけて私に暴言を吐くキヨ。
いや、確かにチビだけど。
身長差30センチあるけど。
「お前と話すと首が痛えわ。」
わざとらしく首を押さえて、私を見下ろす。
キヨがただデカイだけでしょ?!
と思うものの、やっぱり悔しい!
けど、今更身長を伸ばせるわけもなく。
「こっちだって首痛いし!」
何か言い返したくて、思い付く限りの反論をしてみる。
「そう思うんなら、離れて話せばいいじゃん!
遠近法!!」
「はぁ?何言ってんの?
遠くにいたら、チビ過ぎて見えねえわ。」
と、バカにしたような顔。
お前はタワーか、と心の中でつっこむも、これ以上口では勝てそうにない。
「ちょ、ここ来て。」
次は、私の腕を引き、階段の段差を二段上らせる。
「んー、これでやっと同じくらい?」
ははっと笑うと、本日の意地悪最高潮。
「…レトさんだったらこんなこと言わないのに。」
少しムッとして言ってみたものの、聞こえてないのか、無視してるのか、私の言葉には無反応。
「…うーん、でもこれじゃちょっと遠いな。」
今度はキヨが一段上ると、そのまま私のおでこに触れるキヨの唇。
「…え、」
「バーカ、つばさで遊んでいいの俺だけだから。」
ニヤっと笑うと、私の頭を乱暴に撫でる。
呆気にとられていると、今度はキヨの顔が目前に迫る。
「お前は俺に振り回されてればいいの。」
考える間も無く、重なる唇。
悔しいけど、これからも『口』では勝てそうにないかも…